2023年 12月 31日
2023年の終わりに |
私にとって、浜辺に打ち寄せる波のように
次々と予想外のことが起こる1年となりました。
そのきっかけとなったのが、
4月開催の個展「dialogue」です。
ギャラリー南製作所(東京・蒲田)で機会をいただいたこの個展では
私が3年間にわたって撮影し続けた
”水” の写真を展示しました。
プリントして壁面にびっしり並べた366枚と
スライドショーにしてスクリーンに映した366枚と。
合わせて732枚の写真は全て、
庭に置いた、直径30センチほどのメダカ鉢の中の
同じ水を撮った55,000枚超から選んだものでした。
これまでずっと撮ってきた "水" と
あらためて向き合ってみたいという思いから、
2018年秋に個人的に撮り始めたシリーズで
当初は1年程度やってみようか…というぐらいのつもりだったのが
結果的には丸3年に渡る長期企画となりました。
その3年間は、図らずも、新型コロナという未知の脅威に
全人類が脅かされ、翻弄された時期と重なることとなりました。
外出もままならない日々、
庭先の水と語り合うような気持ちで撮り続けた
「dialogue」シリーズの写真には
だから鬱々と内向きにならざるを得なかったこの時期の私自身の
何とも言えない不安や閉塞感も反映されているかもしれない…
そのことを意識したのは、個展に来てくださった
お客様との会話を通してでした。
水との対話は、自分との対話でもあり、
そこからまた他者との新たな対話が生まれ。
個展「dialogue」は、まさしくタイトル通りの経験を
私にもたらしてくれました。
そしてそういった会場での対話の中から
また新たな企画が立ち上がることになりました。
ご来場くださった声楽家の阿部理香さんからお声掛け頂き
11月に地元茨城で開催されるコンサートの会場で
「dialogue」の写真を展示させていただけることになったのです。
そんなわけで、個展終了後すぐに
秋のイベントに向けての準備が始まりました。
コンサート主催者のフランス音楽研究会の皆様と一緒に
写真の選定や展示方法の検討などを進める共同作業は、
これまでそういう経験をしたことがない私にとって、
とても新鮮で学ぶことが多く、そして楽しかった…
当日コンサートにご来場いただいたお客様も
とても熱心に見て下さり、ご質問などもたくさんいただいて、
ここでもやはり、「dialogue」の写真たちは
私に対話の機会をもたらしてくれたのでした。
その対話からまた、思ってもいなかった展開に。
運営しておられるSさんより、
作品販売のお話をいただいたのです。
そこからこの歳末ギリギリまで、今度は
写真を、いかにしてネット販売に相応しい形に
仕上げるかを、ふたりでリサーチし
検討する日々が続きました。
その過程で頼もしい額縁専門店さんと出会い
ご相談させていただいたりもして、
何とか形を整え、販売開始となったのは
去る12月22日のことでしたが、
その後も、お客様へのよりよい情報提供のため
サイトに載せる画像を巡って
試行錯誤が続いています。
このようにして、個人的にはあっという間に
終わってしまった感のある2023年。
日本では、昭和的な世界の闇の部分が
次々と暴露・糾弾され、
世界では、泥沼のような戦闘が繰り返されて
子どもたちを含むたくさんの命が失われていき、
一方で、新型コロナの勢いが衰えるのを
待ちかねていたたくさんの人々が
再び世界中を行き来するようになりました。
なぜ過去と同じような愚行が繰り返されるのか?
なぜ世界はそれを止めることができないのか?
歴史から、何も学ばない。
そういう意味では、正直、人間ってなぁ…と
うんざりすることが多い1年でもありました。
それでもやはり私たちは
明日が今日よりもよくなることを願いつつ
何とか毎日やっていくしかない…
その願いが叶えられることを痛切に祈りつつ
間もなく新しい年を迎えます。
皆さま、よいお年を!
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by immigrant-photo
| 2023-12-31 23:57
| thinking