2008年 12月 23日
時に失敗が、物を語る。 |

昨日は、野口麻矢子さんの新作ダンスのビデオ撮影本番でした。
いつもは1時間借りているスタジオを2時間借りて臨んだ本番でしたが、
まだ病気と闘っている最中の彼女は体調がよくないことも多く、
昨日も、スタジオに着いた時はとてもつらそうでした。
どこまでできるかわからないけれど、と言いながらそれでもとにかく始めた1回目。
終わった途端に床に倒れこむようだった彼女の姿に、
同行のお母様が「先週録ったものもあるし、無理しなくてもいいのでは」と
声をかけられたほどでした。
けれども、私が録ったものを見て、
自分の踊りがどうしても納得いかない、あとで後悔したくない、と。
少し休んで、再挑戦した2回目。
さっきはうまくいかなかったところが、今回はちゃんと決まった。
やり直してよかった、めでたしめでたし・・・
で終わってもよかったはずなのに、彼女は更にもう一度がんばったのです。
そしてこの時の踊りはよかった。
最高によかった。
けれども、その踊りをきっちりきれいに録画することに、私は失敗しました。
それまでに練習も合わせると4回録らせてもらったわけですが
割りときちんと水平は保てていたと思うし、手振れもそれほどひどくなかった。
なのに、操作にもすっかり慣れたはずの5回目、
私が録ったものは揺れに揺れまくっていました。
麻矢子さんをうまく画面に収めきれず、はみだしそうになったり・・・
ビデオとしては、かなり見苦しいものになってしまいました。
しかし、言い訳がましくなりますが、
この収まりきらない感じ、画面からはみだし暴れる奔放なエネルギーこそ
彼女が今回の作品で表現したかったものであることを考えると、
私が犯した失敗は、ある意味では正しかったのかもしれないと思えてきます。
この日3回目のこの踊りを録りながら、私は圧倒されてしまった。
明らかにその前の2回の時とは違っていたからです。
同じ位置で録っていたにもかかわらず、麻矢子さんがどうしても画面に収まらない
そのことに私は記録者として慌てました。
彼女がそれまでより前に出すぎているのか?
私がズームボタンに触れでもしたか?
でも、そうではなかった。
麻矢子さんが姿も動きも大きく見えたのは、
この時の踊りが、それほどに伸びやかに解放されていたからでした。
正確な記録としては使い物にならないこの失敗ビデオは、
他ならぬその失敗ゆえに、一つの真実を物語っているように私は思います。
動画はこの後サイズ縮小などの処理をしてから You Tube 等で公開される予定です。
その時はまたこちらでもお知らせしますので、ぜひご覧下さい。
因みに来る27日、今度は写真の撮影をさせていただくことになりました。
これがおそらくこの1年を締めくくる撮影になるでしょう。
今回の踊りは動きが速いので、運動音痴の私にはそれだけでかなりキビシイ課題ですが
少しでもいいものが撮れるようがんばりたいと思います。
by immigrant-photo
| 2008-12-23 05:49
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