2008年 11月 18日
Migrate #2 |

踊り子の彼女とはブログを通してのお付き合いで、直接の面識はなかった。
彼女のブログの文章はいつも詩のようにイメージ豊かで、
心地よくたゆたいつつ時に切っ先鋭く、
やわらかな印象のうちにも
鮮烈でかつ生々しい野性の力のようなものが感じられる。
文章とともにアップされるたくさんの写真も同様で、
一見さびしげに見えるのに不思議と弱々しい感じはなく、
むしろ凛とした緊張感が、とても好ましい具合にその静かな場を支配している。
1枚の中に広々とした空間があり、その隅々まで透明な光が満ちた清らかな写真。
ドキッとしてしまうほど艶かしい、花のクローズアップ。
かと思えば、小さな子供や動物たちのほほえましい
を通り越して吹き出してしまいそうなユーモラスな表情。
どんな1枚にもちゃんと撮った人の視線が感じられて
更新が待ち遠しく、見る度にますますファンになってしまうのだった。
そんな彼女の舞台を、いつかは観たいとずっと思っていたが、
彼女のブログで公演「Migrate」の告知があったとき、
その “いつか” がついに来た、と思って券を予約させていただいたのだ。
Migrate
人は移動する。移動し続ける。
近づきたくて、あるいは近づき難さのあまり。
詰め寄り、逃れ、追いすがり、突き飛ばし・・・
近すぎたり、離れすぎたり、捩れたり、すれ違ったり・・・
思うに任せぬ現実に腹を立て、思い通りになりすぎてもまた苛立ち・・・
見るべきものに目を向けず、見なければよいものに囚われ
迷っては進み、進んでは迷い、
いつの間にか自分がいる場所を見失って、ふと不安になる。
そういう時は孤独のあまり、見えざる友に手を振ってみる。
見えないままに、振り続ける。
ここではないどこかへの憧れ。
どこかではなくここと定めたい想い。
そのどちらもが同じぐらいに本当で、その狭間で人は思い惑う。
じっとしていられなくて動き、動いてしまったことでさらに惑う。
それでも、動かずにはいられない。
そうやって生きていく。
それは虚しいことだろうか?
そうかもしれない。
けれど、それでもなお求め続けること。
より強く求め続けずにいられないということ。
その繰り返しの中に
希望を見ることはできるのではないか。
そんなことを、思った。
by immigrant-photo
| 2008-11-18 00:16
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