2008年 10月 15日
コラボレーション「Epilogue」 (1) |

踊る人を見るのが好きだ。
歌や踊りというのは本当に人間の体ひとつで勝負するものだから
表現するということの一番ピュアな表れかもしれないと思ったりする。
ゆったり伸ばされた腕、その指先の微妙な表情、
背中の筋肉に走る緊張、しなやかに床を蹴って跳ぶ脚・・・
どの一瞬も、全身に神経が行き届いていて、しかも自由。
あぁ、人間の体って美しいなぁ、と見とれてしまう。
だから、いつか踊る人を撮ってみたいと思っていた。
あてもないのに、漠然と夢見ていた。
ところがつい最近、一人のダンサーと出会ったお陰で
思いがけずその夢がかなった。
そのダンサーの名は野口麻矢子さん。
私と同年代の女性だ。
彼女はもう何年も病気で苦しみ、踊ることからも遠ざかっていたという。
けれども少し前、また踊り始めることを決意した。
病気はまだ完全に治ったわけではなく、体のあちこちに痛みをかかえている。
それでも、とにかくまた踊るのだ、という彼女に
できたら写真を撮らせてもらえないかと、私は頼んだ。
快諾、ではなかったかもしれないが、ともかく彼女の同意を得ることができ、
私はカメラを持って、彼女が週1回借りているスタジオを訪ねた。
新たなコラボレーションの始まりだった。
by immigrant-photo
| 2008-10-15 00:33
| 交流