2007年 12月 30日
『マルホランド・ドライブ』 |
先日、友人の運転する車に乗せてもらって走っていたときのこと・・・
その前から何とも不穏な感じを漂わせていた夜空が、丁度真正面に大きく開けて
いかにも怪しげになったので、思わずカメラを向けた。
写った画像は、現実以上にあやしく、
なぜか光が左斜め上に向って大きく流れる不思議な写真になった。
「まるで映画のポスターのようだねぇ・・・」
モニター画面を見ながら友人とそう言いあったとき、私が思い出したのは
以前ビデオで見たことのある『マルホランド・ドライブ』という映画。
鬼才デビット・リンチ監督の代表作の一つで、
ニッコール・キッドマンと親友でありながらなかなか芽の出なかったナオミ・ワッツにとっては、
記念すべき出世作である。
ただし、決して万人受けする映画ではない。
難解を通り越して不可解の域に充分達しているので
どちらかというと不快感や腹立ちを感じる人のほうが多いかもしれないとさえ思う。
けれど私自身は、脳ミソをギリギリと音がしそうなほどの限界まで追い詰めてくる
この映画の挑戦的な感じが嫌いではない。
それに、終わった時に思わず両手のこぶしを握り締め、空に向って思いっきり
「わかんね~~~っ!」と叫びたくなるほどの不可解さ。
ここまでくると爽快感さえ感じてしまうから、あっぱれというべきであろう。
実際、初めて見たときには、あまりのわけのわからなさに続けてもう一度見てしまった。
すると今度は、この不可解な世界がものすごく論理的に、綿密に、計算ずくで
組み立てられたものであったことが見えてきたりもして、
それでますますわけがわからなくなる。
2回目見終わったときにはふらふら・・・いや、頭がグラグラした。
かなり体に堪える映画でもある。
それはともかく・・・
その『マルホランド・ドライブ』の冒頭、その後に展開する摩訶不思議な世界の
扉を開ける出来事が起こる場面の雰囲気が、この写真の感じに似ている。
不穏な気配を濃厚に漂わせながらも、なぜかとても美しく感じられるこの光景。
ひたひたと何か得体の知れないものが音もなく迫ってくる感じ・・・
因みにこの映画、ファミリー向けでないことは100%確かなので
どうしても見たくなってしまった場合は、夜中にこっそり、をおすすめします。
by immigrant-photo
| 2007-12-30 02:24
| 映画