2021年 05月 12日
いま |

キウイの花が咲いている。
雄株と雌株、ちゃんと2本買ってきて、
パイプでできた棚も立てて。
おそらく、孫と一緒に収穫する光景など
愉しく思い描きながらであっただろう。
しかし数年経ち、木がそれなりの
大きさに育っても
実は一向にならなかった。
そのうち幹の方がパイプ棚より太くなり、
支えきれない棚は崩れおちて、
幹が地面をのたうつようになった。
図々しくも、そのまま
お隣りの畑にまで這っていくので
時々かなり大胆に切り戻されたが
勢いは衰えず、すぐまた
青々と葉を繁らせた。
それなのに、実はひとつもならなかった。
その義父も亡くなって久しい。
キウイの実のことは
いつしか私の頭から消えていた。
ところが数年前の台風一過の朝、
庭に出ると、なぜかキウイが落ちていた。
よく見るとここにも、あそこにも…
前夜の荒天の名残りで
どこか険しい表情のままの地面に
コロンと丸いキウイのお尻が
いかにものんきな感じで
そこかしこにポコポコと見えている
というのは何ともいえずミスマッチで
もはやSF映画のワンシーンのよう…
暫し呆然と見入ってしまったが、
ふと上を見ると、
地面を這っていた筈のキウイが
傍らに自生していた樹を這い上り
梢からこちらを見下ろしている。
ちょっとした高木の風情だ。
実は殆ど落ちてしまっていたが
そもそも高すぎて手が届かない。
以来、野生化したキウイは毎年
大量に実をつけるようになったのだが
人間はさるかに合戦のカニのように
下から見上げるばかりで
相変わらず食べることができない。
(地面に落ちてくるのは完熟で
柔らかいから、落ちたときに
大概つぶれてしまっている。)
by immigrant-photo
| 2021-05-12 10:06
| wanderings

