2017年 11月 07日
昨日のお出かけ |
六本木ヒルズからの夕景です。
光の具合か、やけにきれいだった…
昨日は、六本木で開催中のフィンランド映画祭参加作品のひとつ
「月の森のカイサ」を見に行きました。
北極圏に住む少数民族スコルト・サーミにまうわる物語。
スイスの作家ロベール・クロットエが10ヶ月に渡って
彼らと生活を共にする中で残した写真、ビデオ、
音声テープなどをもとに構成されていますが
全体にメリハリがなく、淡々としたフランス語の
ナレーションが長く続くこともあって、近くの席から
かなり大胆なイビキが聞こえてきたりもしました(苦笑)
クロットエの記録の中心になっているのは、
とても魅力的な長老カイサです。
純真無垢な彼女は、まさに典型的なスコルト・サーミ。
彼女の口から語られる、部族の豊かな伝説や伝記は、
第二次世界大戦開戦にも関わらずクロットエの手で
「月の森」という本にまとめられ、イギリスで出版されました。
大戦後は、元々ロシア領に住んでいたサーミの強制移住、
フィンランド化が強力に推進され、
慣れない環境下の疫病流行で部族の人口も激減して、
サーミは存亡の危機に瀕します。
そんなサーミを救うため、クロットエは基金を設立して
募金を集め、サーミが移住により失ったトナカイや
家・土地を取り戻す手伝いをしようとするのですが
戦後の混迷した世相の中で、それを快く思わない人たちも
少なくなかったようです。
この作品は、カイサの子孫カトゥヤ・ガウリロフ
によるものですが、映画としてはもうひと工夫して欲しかったかな、
という気がしました。
クロットエが記録を残した時期は、上記のとおり
サーミにとってまさに歴史的激動の時代でもありました。
映画の紹介文の「異なる二つの文化の出会いと
二人の友情についての詩的な探求」
というようなサラッとした表現では済まされない部分も
あったのではないか…
例えば、ビデオを録っているクロットエに向かって
カイサが屡々(親しみのこもった笑顔で)「大嘘つき」と呼びかける
そこにはどんな気持ちがあったのだろう、と
私は、個人的にとても気になりました。
そのあたり、あまりきれいにまとめすぎないで、
子孫ならではの、もう少し突っ込んだアプローチを見てみたかったかも。
まだそんなに昔のことではないのだから。
それにしても、カイサはいい顔をしている…
この顔を見られただけでも、この映画を見てよかったと思いました。はい。
by immigrant-photo
| 2017-11-07 16:36
| 映画