2016年 10月 03日
秋の遠足 |
「きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。
そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、
私はこれまで生きてきたような気がする」
ぎゃらりーマドベ(茨城・ひたちなか市)の心地よい空間で
ゆったりくつろぐかのような美しい靴たちを見て、
『ユルスナールの靴』の冒頭、須賀敦子のこの名文を思い出した。
本当に・・・「きっちり足に合った靴」はどこにあるのだろう?
はい。
ここです!
ここにありました!
現在マドベで開催中の「はきもの工房うえの 展示受注会 2016年秋」に、
ぜひ行ってみて下さいませ。
岡山の靴職人 上野一雄さんは、ひとりひとり足型をとり
靴底一枚から足型に合わせて靴をつくられます。
実はマドベでの展示受注会は、昨年に続き2回目で
昨年注文された方々にとっては、1年前に注文し
大切に大切に作り上げられた、まさに世界にひとつの
「きっちり足に合った靴」と感動の対面を果たす場ともなるのだとか。
今この時代にそんな風に作られる靴をせめて一度見てみたい、と
友だち誘って遠足がてら来てみたわけですが
会期中毎日在廊されている上野さんからいろいろお話を伺い、
その、靴に対する知識の広さ、愛情の深さを感じるにつけ
やはり一度実際に履いてみたいという誘惑に負けて、
勧められるがままに、サンプル用の一足を履かせていただくことに。
サンプルだから厳密に言えばこれは私の足にきっちり合ってはいないはず。
なのに、実に心地よいのです。
普段は、とにかく簡単に脱ぎ履きができる幅広のスリッポンが多い私にとって
試し履きさせていただいた、いわゆる紐靴しかも本皮の!となると
重くて窮屈に感じそうな気がしていたのですが、
そして実際、上野さんが儀式のように丁寧な手つきで
しっかりと紐を結んで下さったときは
きゅっと、ちいさな音をたてて身も引き締まるような感じがしたのですが、
それが決して嫌な緊張感ではなく、むしろ心地よかったという不思議。
きっちりしているのに窮屈じゃない。
正しく支えられて、足はのびのびとうれしそうにしている。
そして立ち上がって少し歩いてみると、重さも実に絶妙で
本当に「どこまでも歩いて行ける」、歩いて行きたいと思わせるような靴。
いい意味で衝撃の体験だったので、同行の友人にも
「これはぜひ履いてみた方がいいよ」と強く勧め、
二人でしばし感動を分かち合ったのでした。
その後は、マドベから車で15分ほどのところにある
これまた素敵なお店 ラ・ターブル・ドゥ・イズミ へ。
丁寧に作られた美味しいお料理をいただきました。
ランチセットには、20種の紅茶の飲み放題と
手作りスコーン食べ放題がついています。
心も身体も大満足の1日…
皆様も、秋の遠足はいかがでしょう?
by immigrant-photo
| 2016-10-03 22:44
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