2016年 05月 24日
オオミズアオ |
昨日の朝、庭でとても大きなオオミズアオを見つけた。
生まれたばかりのように瑞々しく美しい姿で、
しかし地面にひっくり返って、脚を上に向けていた。
生まれたばかりのように瑞々しく美しい姿で、
しかし地面にひっくり返って、脚を上に向けていた。
羽化に失敗したのだろうか。
死んでいるな…と思いながらも、あまりにきれいなので
暫くしゃがんでじっと見ていた。
すると、時々脚を動かすのである。
まだ生きている。
こういう場合、基本的に手出しはしないと決めているのだが、
死んでいるな…と思いながらも、あまりにきれいなので
暫くしゃがんでじっと見ていた。
すると、時々脚を動かすのである。
まだ生きている。
こういう場合、基本的に手出しはしないと決めているのだが、
あまりに美しいオオミズアオだったので、
この時ばかりはあっさりその信条を捨てた。
草の茎に摑まらせて、何とか表向きにしようとする。
真っ白な毛で覆われた胸からくっきり伸びる薔薇色の脚。
見た目は太くてしっかりしているが、やはり弱っているのか
なかなかうまく摑まることができない。
それでもどうにかひっくり返し、青白い光を帯びたように
この時ばかりはあっさりその信条を捨てた。
草の茎に摑まらせて、何とか表向きにしようとする。
真っ白な毛で覆われた胸からくっきり伸びる薔薇色の脚。
見た目は太くてしっかりしているが、やはり弱っているのか
なかなかうまく摑まることができない。
それでもどうにかひっくり返し、青白い光を帯びたように
淡く輝く羽をしみじみ眺めれば
裏返っていたせいで、右の羽が濡れて薄緑に染みている。
でも、ここが乾けば飛べるだろう。
オオミズアオ自身もそう思っているかのように
時折吹く風に美しい触覚をなびかせながら、じっとしている。
表返して見れば一層、美しさが際立つ。
羽の染み意外、特に傷んだところも見当たらず、
羽が乾きさえすれば、何事もなかったように飛び立つように思われた。
その瞬間を見たい。
それでそのまままた見ていた。
オオミズアオは、順調に回復していくように見えた。
そよ風に合わせるように、左の羽を軽くばたつかせてみたりもする。
濡れていた右羽もかなり乾いた感じになってきた。
あとひと息、と固唾を飲んでなお見る。
が、回復の兆しが見えたのもそこまでであった。
その後オオミズアオは次第に弱っていき、やがて完全に息絶えた。

裏返っていたせいで、右の羽が濡れて薄緑に染みている。
でも、ここが乾けば飛べるだろう。
オオミズアオ自身もそう思っているかのように
時折吹く風に美しい触覚をなびかせながら、じっとしている。
表返して見れば一層、美しさが際立つ。
羽の染み意外、特に傷んだところも見当たらず、
羽が乾きさえすれば、何事もなかったように飛び立つように思われた。
その瞬間を見たい。
それでそのまままた見ていた。
オオミズアオは、順調に回復していくように見えた。
そよ風に合わせるように、左の羽を軽くばたつかせてみたりもする。
濡れていた右羽もかなり乾いた感じになってきた。
あとひと息、と固唾を飲んでなお見る。
が、回復の兆しが見えたのもそこまでであった。
その後オオミズアオは次第に弱っていき、やがて完全に息絶えた。
こんなにも立派で完璧に美しく生まれながら、にもかかわらずオオミズアオは
羽ばたくこともできずに死んでしまった。
それがひどく理不尽なことであるように思われて、
どこか憤然とした気持ちのまま、私が漸くオオミズアオの傍を離れたのは
昨日の昼下がりのことである。

by immigrant-photo
| 2016-05-24 22:27
| wanderings