2014年 09月 11日
サトミ セキ『虹を生むひと』 |
サトミさんとは、数年前、ダンスの yuko スタジオとのご縁がもとで
知り合った。
ベースにある豊富な語彙からいつも的確にことばを選ばれ、
論理的に筋道立てて話して下さるので、
実にわかりやすく説得力がある。
第一印象がそんな感じだったので
ライターさんとうかがって、心から納得した。
その後サトミさんとは、何度かご一緒させていただいた。
美術展に行ったり、映画を観たり、時には一緒に写真を撮りに行ったり。
演奏会やコンサートに誘っていただいたり。
博学でことばの豊かなサトミさんと一緒だと、
一つの体験が2倍にも3倍にも膨らむように感じられて
いつも、何をしても、とても濃い時間を過ごすことができる。
そんなサトミさんのはじめての本が、先月上梓された。
サトミ セキ「虹を生むひと」
サトミさんが子宮体がんの宣告を受けてから5年間にわたって書かれた
7篇の文章をまとめたもので
例外もあるが基本的にはすべてノンフィクションである。
恩師との忘れ難い想い出や、海外のストーンマーケット事情など
読み物として気軽に楽しめる章もあるのだが
例えばがんを宣告された患者の恐怖や不安、
闘病の苦しみ、やり場のない怒りなども
包み隠さず、正確な言葉で実に克明に記されている。
病身だったお母様が手術の甲斐なく亡くなられるまでの
数日間の記録も、冷静で抑制のきいた語り口ながら内容は壮絶だ。
・・・と、こんな風に書くとどんなに暗くて恐ろしい内容なのかと
身構えてしまわれるかもしれないのだが、
そして実際、読者である私たちはまさにサトミさんの人生の修羅場に
いきなり直面させられるわけではあるのだが、
1冊を読み終えて残るのは、じめじめした悲愴感よりはむしろ
ある種突き抜けた爽快感である。
文字通り筆舌に尽くし難い経験をしながらも
決して諦めず、常に全力で、主体性を持って取り組もうとされる
そのひたむきな姿がうつくしいと思う。
そしてそのようなサトミさんの在り方を象徴するのが、
タイトルにもある「虹」である。
2007年ハワイのキラウエア火山山頂で奇跡のような虹に遭遇したサトミさんは
翌年、今度はイギリスのグラストンベリーで再び不思議な虹と巡り会う。
知的でクールなサトミさんだが、そういう不思議をそのまま受け容れる
謙虚さと柔軟性も兼ね備えているところがまた素敵。
生きることは傷を負うこと、そしてその傷を虹に変えること。
自身の病やご両親をはじめとする大切な人たちとの別れを通して得たものを
サトミさんは、このような言葉で私たちに伝えてくれた。
今の私には、大変な経験を経たサトミさんと同じものを見ることはできない
かもしれないが、それでもこのメッセージを胸に抱いていこう。
傷を負うことばかりに気をとられず(所詮全くの無傷ではいられないのだから)
その傷の痛みの中にも、そこでしか見られない虹を見ることができるように。
そうやって私も、何とかちゃんと生きていこう。
そんな風に思わせてくれる1冊。
(読んでみたければお貸ししますよ〜!近くの方限定ですが。)
知り合った。
ベースにある豊富な語彙からいつも的確にことばを選ばれ、
論理的に筋道立てて話して下さるので、
実にわかりやすく説得力がある。
第一印象がそんな感じだったので
ライターさんとうかがって、心から納得した。
その後サトミさんとは、何度かご一緒させていただいた。
美術展に行ったり、映画を観たり、時には一緒に写真を撮りに行ったり。
演奏会やコンサートに誘っていただいたり。
博学でことばの豊かなサトミさんと一緒だと、
一つの体験が2倍にも3倍にも膨らむように感じられて
いつも、何をしても、とても濃い時間を過ごすことができる。
そんなサトミさんのはじめての本が、先月上梓された。
サトミ セキ「虹を生むひと」
サトミさんが子宮体がんの宣告を受けてから5年間にわたって書かれた
7篇の文章をまとめたもので
例外もあるが基本的にはすべてノンフィクションである。
恩師との忘れ難い想い出や、海外のストーンマーケット事情など
読み物として気軽に楽しめる章もあるのだが
例えばがんを宣告された患者の恐怖や不安、
闘病の苦しみ、やり場のない怒りなども
包み隠さず、正確な言葉で実に克明に記されている。
病身だったお母様が手術の甲斐なく亡くなられるまでの
数日間の記録も、冷静で抑制のきいた語り口ながら内容は壮絶だ。
・・・と、こんな風に書くとどんなに暗くて恐ろしい内容なのかと
身構えてしまわれるかもしれないのだが、
そして実際、読者である私たちはまさにサトミさんの人生の修羅場に
いきなり直面させられるわけではあるのだが、
1冊を読み終えて残るのは、じめじめした悲愴感よりはむしろ
ある種突き抜けた爽快感である。
文字通り筆舌に尽くし難い経験をしながらも
決して諦めず、常に全力で、主体性を持って取り組もうとされる
そのひたむきな姿がうつくしいと思う。
そしてそのようなサトミさんの在り方を象徴するのが、
タイトルにもある「虹」である。
2007年ハワイのキラウエア火山山頂で奇跡のような虹に遭遇したサトミさんは
翌年、今度はイギリスのグラストンベリーで再び不思議な虹と巡り会う。
知的でクールなサトミさんだが、そういう不思議をそのまま受け容れる
謙虚さと柔軟性も兼ね備えているところがまた素敵。
生きることは傷を負うこと、そしてその傷を虹に変えること。
自身の病やご両親をはじめとする大切な人たちとの別れを通して得たものを
サトミさんは、このような言葉で私たちに伝えてくれた。
今の私には、大変な経験を経たサトミさんと同じものを見ることはできない
かもしれないが、それでもこのメッセージを胸に抱いていこう。
傷を負うことばかりに気をとられず(所詮全くの無傷ではいられないのだから)
その傷の痛みの中にも、そこでしか見られない虹を見ることができるように。
そうやって私も、何とかちゃんと生きていこう。
そんな風に思わせてくれる1冊。
(読んでみたければお貸ししますよ〜!近くの方限定ですが。)
by immigrant-photo
| 2014-09-11 19:13
| 本