2014年 03月 14日
『鑑定士と顔のない依頼人』(公開中) |
真実は、真贋の狭間に。
というわけで、やはり2回目観に行ってしまいました。(1回目は3月8日鑑賞 )
行ってよかったです、うん。
俳優陣の演技の細やかさに感じ入り、一つ一つの台詞の深みも増して
あの結末がますます心に沁みまする。
一度観た方には、ぜひぜひもう一度!をおすすめします。
リピーター割引、万歳。
一方で、まだ観たことのない人にこの映画を紹介するのは
非常に難しい・・・
あらゆるところに伏線が張ってあるので
全くネタバレせずにあらすじをまとめるなんて
不可能なんじゃないかと思えるのです。
なので、天才的鑑定士と、両親が遺した美術品の鑑定を彼に依頼しながら
全く姿をみせようとしない依頼人との話、とだけ。
タイトルそのままですが。
あとはとにかく観てみてください、としか。。。
もしできれば映画館で。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の美しい映像と
彼の映画には欠かせないエンニオ・モリコーネの音楽。
映画館という日常から少し切り離された空間で、
至福の時を心ゆくまでご堪能あれ。
それにしてもジェフリー・ラッシュは、正にはまり役でしたね。
世界中からオファーがくる極めて有能な鑑定士でありながら、
人としてはすこぶるつきの変人。
超潔癖性で、人間不信で、横柄で、
成功者のくせに陰でこっそりヤバいこともしていたりする
主人公ヴァージルを実に魅力的に演じていました。
「英国王のスピーチ」で演じたモグリの言語療法士と似たような役どころ
だったので、今回も絶対イイだろうと思って観には行ったのですが
その期待を上回るすばらしい演技でした。
この人が演じると、カリスマ性と胡散臭さを併せ持つ
もし実際身近にいたら相当面倒なタイプの人物が
やたらエレガントでチャーミングに見えるのが不思議ですが、
本作品では、年老いて初めて抱いた恋心に戸惑いつつ
かなりベタな作戦で一途にがんばっちゃう姿もいじらしく、
いつの間にか、母のような気持ちで応援してしまっている自分がおりました。
あの結末をどうとらえるか、は割と意見が分かれるところでしょうが
私はハッピーエンドととらえる方に一票。
いろいろあるのも生きていればこそ、ってことで。
来たらずといえど待ち人があるというのは、
待つ苦しさも含めて、人として幸いなことでありましょう。
がんばれ、ヴァージル。
by immigrant-photo
| 2014-03-14 17:14
| 映画