2010年 05月 06日
practice |

ゴールデンウィークが終わった。
最初から最期まで行楽日和の、珍しく天候に恵まれた連休だったが
うちは結局どこにも行かなかった。
それでも、少し前までの悪天候続きの日々を思えば
洗濯物が毎日気持ちよく乾くだけで、充分幸せを感じたりして(笑)
以前このブログでも書いたことがあるように、
縁あって、ブライダルスナップの仕事をさせていただくことになった。
といっても、今はまだいわば仮採用の身で、
研修を経て、何とか使い物になりそうだということになれば
そこで初めて契約カメラマンになることができる。
写真の仕事ができるからと言って、まだ手放しでは喜べない段階なのだ。
仕事の性質上、研修は実地訓練の形で行われる。
会社の撮影スタッフがいる水戸市の結婚式場で、
サブカメラマンとして実際に撮影をしながら、
必要なことを、その場その場で学んでいくわけである。
結婚式は毎週末あっても、そのすべてがスナップ写真を依頼するわけではないので
回数はそんなに多くはない。
学校の予定と重なったりもして、4月に1回、5月は2回・・・といったところ。
初回は、任される仕事の範囲が思ったよりずっと広いことに驚いた。
写真歴も浅く、何のキャリアもない私に声がかかったぐらいだから
本当に、式の様子とか、披露宴の楽しげな雰囲気とかを
いい機材できれいな写真にして記録すればいいのだろうと、
内心タカをくくっていたのだが、さにあらず。
メイクしてもらう花嫁の、歓びと緊張の混じった表情、
それを傍らからうれしそうに見つめる新郎、
お姫様のような素敵なドレスに目を奪われている、小さな女の子、等々
・・・・・・だけではなく。
何と新郎新婦にポーズをつけて、キメッ!の写真まで撮るのだという。
「では、新婦様こちらの窓際に立っていただいて外を見る感じで。
そうそう・・・それでもう少し視線を落としてみましょうか。
はい、OK!完璧です。」
「次は新郎様お一人で、壁によりかかってみて下さい。
手袋は手に持って、腕組みをして、視線は遠くにお願いします。
うん、いいですね。思いっきりキメちゃってください。」
みたいなアレ。
それをこの私にやれと?・・・と目が点になった。
こういう指示は、少し高めの声で、テキパキとテンポよく出さなくてはならない
ということはわかるのだが、私はそういう資質を著しく欠いている。
大体どんなポーズをとってもらえばいいのか、それさえ見当がつかない。
限られた時間の中、絶え間ない楽しい会話でカップルの気分を盛り上げながら、
機敏に動き回ってサクサクと撮影をこなしていく先輩の背中が
あまりに遠くて、呆然としてしまった。
どうする、ワタシ?
また、披露宴ではクリップオンタイプのストロボが必須だが、
私はこれまでそういうものを触ったことさえないので、
これも基本的な使い方から勉強しなくてはならない。
大丈夫なのか、ワタシ?
当然のことながら式を挙げるカップルは毎回違うので、
ノリのいいカップルもいれば、とてもおとなしい二人もいるわけで。
またタイムテーブルは当日もらえるそうだが、往々にして予定変更が入り、
その時々、臨機応変に対処しなくてはならない。
“臨機応変” というのも、万事スローペースの私にはかなり困難な課題だ。
ヤバすぎるぞ、ワタシ?
写真の良し悪し以前に、身につけなければならないことが多すぎる。
こんな仕事が、本当に、私にできるようになるのだろうか?
基本ノウテンキな私も、今度ばかりはさすがに不安になってきた。
自分がこの場にいることが、大きな間違いのように思える。
何かとんでもない失敗をして、取り返しのつかないご迷惑をかけてしまうんじゃないか。
初めての研修日は、そればかりが気になった。
しかし、いくらでも気兼ねなく写真を撮らせてもらえるというのは本当に楽しくて、
お開きの時間がくるのが少しさびしく感じられるぐらいだし、
若い二人の晴れの門出を記録させていただくことの
(まだ一部ではあるけれど)責任と悦びとを感じてもいる。
そして素敵な式にするために、黙々と体を動かして
ギリギリまで会場の準備をする式場スタッフの方々の姿にも
それが彼らの仕事とはいえ、妙に心うたれたりするのだ。
今の私は、この仕事に必要な能力も、知識も、技術も、不足していて、
これからそれをどこまで補っていけるのか、
そもそも補うことのできるものなのか、
正直言って、そのことさえ私にはわからない。
だからこそあせらずに、先ずは、九九の一の段から始めてみよう。
多くの人は了解済みであらためて覚える必要もないここから始めて
一つ一つ積み上げていく・・・
かなり普通でない道のりを経てここに辿り着いたのだから、
他の人以上の努力が必要なのは当たり前だ。
2回目の研修を終えて改めてそう思ったのは、一昨日のこと。
by immigrant-photo
| 2010-05-06 17:51
| will