2009年 12月 06日
まど・みちお(文) ましま せつこ(絵) 『ママだいすき』 |
昨日の “ぺろぺろ” で、この絵本のことを思い出した。
縦横20センチぐらいのかわいらしいサイズ。
彩り豊かだがシックな色合いで、鮮やかな原色が競うような絵本売り場では
ひっそりと埋もれてしまいそうな、ひかえめな絵本だ。
それがたまたま目に入ったのだったか、どこかで紹介されていたのだったか
それすらも今となっては定かではない。
けれど、このしずかな絵本を手にとって開いてみたときの新鮮な驚きと、
その後にじわじわと広がった何ともいえないあたたかい気持ちとを
私は忘れることができない。
あまりにもささやかなしかし充分すぎる幸福に、ほとんど涙ぐんでしまった。
実に、実に、シンプルな本である。
描かれているのは、いろんな動物の母と子。
大らかで愛情に満ちたその絵は、もともとは、絵描きのましまさんが
ただご自分のお子さんを喜ばせるためだけに描いたものだったという。
だから本当に、余計なものが何も入っていない。
そしてそこにぽんと置かれたような詩人のまどさんのことばがまた、
最高にいいのだなぁ・・・
例えば猫の母子のページ。
見開きいっぱいにゆったりと寝そべるおかあさんに、
4匹の子猫がてんでにじゃれついている。
顔をぺろぺろされている1匹は、とろけそうな顔でこう言うのだ。
また ぺろぺろかぁ
たった8文字。
とりたてて凝ったことばが含まれているわけでもない。
しかしこの8文字で、おかあさんにぺろぺろされている子猫の
あらゆる気持ちがそのまま伝わってくる。
シンプルな、ありふれたことばなのに、それだけの力と広がりを感じさせてくれる。
たった8文字だけれど、これも詩だと思う。
親も子も。
ただ体をくっつけあっているというだけで、あんなにも満たされていた日々があったことを
人はいつの間にか忘れてしまうのだけれども。
縦横20センチぐらいのかわいらしいサイズ。
彩り豊かだがシックな色合いで、鮮やかな原色が競うような絵本売り場では
ひっそりと埋もれてしまいそうな、ひかえめな絵本だ。
それがたまたま目に入ったのだったか、どこかで紹介されていたのだったか
それすらも今となっては定かではない。
けれど、このしずかな絵本を手にとって開いてみたときの新鮮な驚きと、
その後にじわじわと広がった何ともいえないあたたかい気持ちとを
私は忘れることができない。
あまりにもささやかなしかし充分すぎる幸福に、ほとんど涙ぐんでしまった。
実に、実に、シンプルな本である。
描かれているのは、いろんな動物の母と子。
大らかで愛情に満ちたその絵は、もともとは、絵描きのましまさんが
ただご自分のお子さんを喜ばせるためだけに描いたものだったという。
だから本当に、余計なものが何も入っていない。
そしてそこにぽんと置かれたような詩人のまどさんのことばがまた、
最高にいいのだなぁ・・・
例えば猫の母子のページ。
見開きいっぱいにゆったりと寝そべるおかあさんに、
4匹の子猫がてんでにじゃれついている。
顔をぺろぺろされている1匹は、とろけそうな顔でこう言うのだ。
また ぺろぺろかぁ
たった8文字。
とりたてて凝ったことばが含まれているわけでもない。
しかしこの8文字で、おかあさんにぺろぺろされている子猫の
あらゆる気持ちがそのまま伝わってくる。
シンプルな、ありふれたことばなのに、それだけの力と広がりを感じさせてくれる。
たった8文字だけれど、これも詩だと思う。
親も子も。
ただ体をくっつけあっているというだけで、あんなにも満たされていた日々があったことを
人はいつの間にか忘れてしまうのだけれども。
by immigrant-photo
| 2009-12-06 05:52
| 本