2009年 10月 02日
新しい物語 |
「飼う」とは言ったものの、うちにはすでにハムスターや魚など、
猫にとっては格好の獲物になってしまいそうな先住民がいる。
それで、とりあえずは物置に住んでもらうことにした。
物置といっても店舗にも使えるようなものなので、広さはかなりあるし窓も三方についている。
床はコンクリートをうった土間で、トイレ砂やエサの食べこぼしを気にしなくていい。
積み上げられたガラクタも、考えようによってはいい遊具だ。
今後少しずつ手を加えてよりよい環境に整えてやるとして
この時はとにかくトイレと食器を用意しただけで、子猫たちを庭から移した。
これまで草の上や木陰で暮らしてきたこの仔たちを、
緑のないところに閉じ込めるのはつらかった。
でもまぁ、時々庭に出して散歩させてやれば・・・と思っていたら
先日買った本には「出さないと決めたら一切出さないほうがよい」とあった。
うちに閉じ込めることで車に轢かれる危険からは免れるが
逆に言うと、危険を察知してそれを避ける知恵や能力を身につける機会も
なくなるからだそうだ。
この仔たちはもう、一生外には出られないのか・・・
そう思うと切なかった。
それが猫たちにとっていいことなのかどうか、正直言って私には今もわからない。
でもやっぱり、もう1匹も轢かれてほしくないのだ。
例えそれが人間の勝手なエゴにすぎないとしても。
うちに入れてから最も著しく成長したのはミィちゃんである。
離乳が遅れていたのなんて嘘のように、今はがんばってごはんを食べている。
見よ、この食いっぷり!
うちに来たばかりのころは一番大きいプンプンと随分体格差があったけれど
この頃かなり追いついてきた。
3匹それぞれにお気に入りの場所が違っていて、クゥちゃんは時々物陰にもぐりこんでは
独りの時間を堪能していたりする。性格的には彼女が一番クールだ。
プンプンは高いところが好きらしく、大概は積み上げられたダンボールのてっぺんに
ゆったりと寝そべっている。
慎重なのは相変わらずだが、怒りんぼの「プンプン」だったはずが
今は一番の甘えん坊である。
抱かれるとくたっと力を抜いて全身でゴロゴロいっている。
ミィちゃんはコンクリートの床が好きで、せっかく買ってやった猫用ベッドもあまり使わない。
小柄ながらすばしっこく、人の気配をいち早く感じとって最初に駆けつけるのは、
いつもミィちゃんだ。
これまではあくまでノラ猫として接してきた彼らをうちの飼い猫にしたことで、
私たちと猫との新しい物語が始まった。
少し前まで母猫と子猫たちとの物語を傍らで見守るだけだった私たちが
これからは子猫たちとともに、新しい物語を紡いでいく・・・
あたたかくて幸せに満ちた物語にしたい。
by immigrant-photo
| 2009-10-02 00:35
| wanderings