2008年 12月 14日
あやさんのこと ― 名刺 ― |
「 彫刻家 佐々倉 文 」
そう書いた名刺を携えて参加した 「しもだてアートフェスタ」 で、
あやさんは彫刻家デビューを果たした。
11月8日のことである。
このイベントには、他にもたくさんのアーティストが参加していて
自作のPRを兼ねて展示販売したりしていたのだが、
その時あやさんの隣りのブースだったのが、分校管理人で、あやさんのお友達でもある
もう一人のあやさん(綾さん)とスチさんだったというわけ。
この時あやさん(文さん)からお二人をご紹介いただき、
分校の話が出て、その後トントン拍子にプチ撮影旅行の話がまとまったのだった。
何という幸運。 キューピッドに感謝♪である。
他の方は殆ど、4本脚にシート屋根が付いた簡易テントを利用してお店を構えておられたが、
あやさんのブースには微妙に曲線を描く大きな白い壁が立てられ、
そこに今回の新作や以前作った焼き物のカエルが展示されていた。
下から見上げると、カエルたちは高く高く空に向かうエンジェルのようだ。
あぁ・・・飛んだ・・・・・・
そして、手前の小さな台にはできたての名刺。
デザインはあやさんのお友達がしてくださったそうで、
用紙はヨコ使いながら肩書きと名前はタテ書き、というちょっとユニークなものなのだが、
全体がシンプルなので、そのユニークさが全然うるさくない。
さりげなく個性的なところがいかにもあやさんらしくて、すてきな名刺である。
ところで、その名刺に肩書きを入れるにあたり、あやさんは相当頭を悩まされたらしい。
これは私自身もそうだったからよくわかるのだが、
そもそも名刺を持っていなかった者が初めて名刺を持つ
そのことだけでも、なぜか無暗に気恥ずかしくてもじもじしてしまうものである。
何かこう・・・自分のものなのに妙によそよそしい感じがして
やっぱり分不相応?とかいう気にさせられる。
肩書きというのは、そんな名刺の最も名刺的な部分を象徴するような存在だから
名刺に慣れていない人間にとっては、なかなか手強い相手だ。
特に個人で作る名刺では、肩書きは自分の何たるかを示す重要なものとなる。
それだけにかえって腰が引けて、「肩書きなんていらない!」という気にもなったそうだ。
が、師匠の尾崎さんからの、
「自分の決意、腹をきめるという意味でも、きちんと職業を書くべきだ。」
というアドバイスもあり、あらためて必死で考えた・・・・・・
そうやって、たどり着いたのが “彫刻家” で、
職業もしくは肩書きというよりは 「こころざし」 なのだと、あやさんは言う。
“彫刻家” でありたい、という想い
“彫刻家” として生きていくのだ、という決意
これらが名刺として形になったとき、そこには一種の責任も生じると思う。
世間に対しても、自分に対しても言い訳を許さない厳しさのようなもの。
そこで生きると決めた以上、やはりその覚悟は必要だろうから
そういう意味でも、今回とても苦労して肩書きを決めたことは、
あやさんのこれからにとって大きなプラスになるだろう。
熱い想いを秘めたすずしげな名刺を持って、彫刻家 佐々倉 文 が向かう先を
これからも楽しみに見守りたいと思いつつ、私は下館を後にした。
by immigrant-photo
| 2008-12-14 07:38
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