2008年 09月 18日
ウバタマムシ |
子どもの頃、年に一度だけ、しかもいつも一匹だけ玄関の前に落ちていた虫。
それがウバタマムシであった。
植物にせよ昆虫にせよ、「ウバ」という二文字が付いた名前のものは地味である。
そして「ウバ○○○」の “○○○” にあたる本家のまがいものっぽい感じが
どうしても付きまとい、非常に気の毒な気がする。
そんな「ウバ」類の中でも、もっとも嫌な思いをしているのが、
この「ウバタマムシ」ではないだろうか。
何しろ本家は煌びやかさの代名詞ともいえる、あのタマムシである。
対するウバタマムシはといえば、微妙にゆらぐシブすぎる縦ストライプが
どこか昔の野良着を思わせ、実用の美は感じられても、華やかさには著しく欠ける。
体も一回り小さいので、どうにも貧相な感じがしてならない。
「ウバ」と「タマムシ」との間には、深い溝がある・・・
・・・と思っていた。
しかし、先日電柱にとまっていたウバタマムシは全然違った。
本家タマムシに負けぬ堂々たる体格、
全身を覆う金色の細かい毛が、まるで金粉を撒いたようだ。
そして見る角度によって赤褐色から深い緑にまで変化するストライプ・・・
あまり立派なので「一緒に帰る?」と自転車のかごに入れて連れ帰ってみたが
全然平気で微動だにしない。
とても美しかった。
by immigrant-photo
| 2008-09-18 00:50
| 写真