2008年 07月 17日
コラボレーション 「三本木」ほか (2) |
初めて本山さんの作品を拝見し、またとりあえずの撮影をさせていただいた段階で
私が強く感じたのは、本山さんの作品がいずれも “群” である、ということだった。
そしてそれはつまり、作品を構成する複数の個体がバラバラに存在するのではなくて
お互いの関係性、或いは群としての雰囲気や設置されている空間のようなものまで含めた
全体が作品だということなのだ、と思った。
そういう意味で、前回撮影していて、また帰宅後にレタッチしていて、
一番迷ったのはキリンだった。
作品を構成するのはたった3体、しかもその一つ一つが大きくて存在感があるので
それらをどのように関係付けるのか、というのが他の作品以上に重要になる。
更にもう一つ、本山さんが撮影場所としてこの鋳物場を選ばれたことに込められた想いも
私としてはぜひ、写真の中に表現したかった。
ここは、彼らが生まれた場所だから・・・
と、まさに我が子をいとおしむように本山さんは話してくださったのだった。
「三本木」という、十和田の旧い地名がタイトルになっているこの作品には
実は本山さんオリジナルのお話もついていて、
それによるとこのキリンたちは三人兄弟なのだという。
今は無いその地に在って、ひっそりとお互いをいたわりあう兄弟・・・
少し心細げにしかししっかりと寄り添うキリンたち・・・
6月20日の初めての撮影から中二日おいた23日、再び撮影に訪れた私を待っていたのは
前回とは随分様子の変わったキリンたちだった。
昨日も書いたように、空いた中二日の間に私たちはメールでいろいろ話し合ったのだが、
それに対する本山さんからの回答がキリンのこの姿だった。
今度は私が応えなくてはならない。
本山さんからは事前に「次回の撮影時は付き添わないので、一人で、好きなように
撮ってみてほしい」と言われていた。
本山さんが他の作業を進めるためにアトリエの方に戻られたあと、
作品とともに鋳物場に残された私は、上に書いたようなことを思いながら
改めて作品と向き合い、本山さんの想いをできる限り深く感じようとした。
前回撮影した時より作品と、そしてその作者である本山さんと、ぐっと近くなれた気がして、
作品の周りをぐるぐる回ってシャッターをきりながら、私は何だかうれしくて仕方なかった。
その後屋外に出て、ブタとサルを撮影。
この二つは前回大体感じがつかめていたので、さくさくと済ませた。
そしていよいよ、前回は撮れなかったトリの撮影のために、はしごを上る時がきた。
高いところは全然平気なのだが、はしごで木に上るのなんて初めてである。
人生も半ばを過ぎた身で、まだ “初めて” を経験をできるなんて!
またまたうれしくて、胸がドキドキした。
by immigrant-photo
| 2008-07-17 00:07
| 交流