2012年 07月 26日
奇跡の軌跡 |
ゆるゆるの観察日記の途中ですが、本日は衝撃のニュースです。
奇跡の生還を果たした「エルちゃん」は
うちのエルちゃんじゃなかったことが、昨日わかりました。
息子の友だちが見つけて、うちに連れてきてくれたのが7月15日。
それから昨日までの10日間は、初めての老犬介護の日々でした。
ごはんをたっぷり食べてゆっくりしたせいか、
足取りは随分しっかりし、時には、床に寝そべっているネコを
ひょいと跳び越えたりするまでになったのですが、
排泄ががまんできないらしく、すぐにケージを汚してしまう・・・
できるかぎり度々外に出してやったりしてみたのですが、
どうしてもケージの中でしてしまって
途方に暮れた顔をしているのがかわいそうでした。
私自身こんなに年をとった犬の世話をするのは初めてのことだったので
若山正之『老犬生活 完全ガイド』(高橋書店)という本を買ってきて
試行錯誤しながら、いい方法を模索していました。
ハスキーとしては小柄だとはいえ、それなりに大きいので
何をするにも大変ではありましたが、
息子が本当によく手伝ってくれました。
大きくて力のある人の方が安定するので、抱かれる犬も安心するようでした。
そうやって世話をしながら、ふと身を寄せてくるときの寄りかかり方や
気に入らないときの実にしらっとした無視の仕方など、
ほんのちょっとした仕草がいちいちエルらしくて、
「やっぱり、どうみてもエルちゃんだよねぇ・・・間違いない」
と、子どもたちと確認しあっていたのです。
が、一方で、この子が間違いなくエルだとしても
それまで飼われていたところから逃げてきたわけなので、
飼い主さんはさぞ心配されているだろうな、と。
4年前の自分たちの気持ちを生々しく思い出して苦しくなり、
何とか連絡をとれないかと思っていました。
(今から思えば、すぐにでも市役所に届ければよかったのですが
エルちゃんが戻ってきたというので頭がいっぱいになっていたので
そこにはまったく気がまわらず。。。)
首輪に住所らしきものが書いてあるものの、インクがにじんでしまって判読不能。
一昨日の夜になって漸く、ネットで検索してみることを思いつき
やってみたら、茨城県動物指導センターの「迷い犬」コーナーに
「エルちゃん」がうちに来た日と同じ7月15日に逸走、
ハスキー系雑種、色は灰色で一部黒、目は茶、
「切れたチェーン付き」とか「歩く時少しふらつく」とか
まさにその通りの犬が載っていたのです。
やはり、探しておられるのだ!と思うと居ても立ってもいられない気分。
一夜明けて昨日の朝一番にセンターに電話して
飼い主さんの連絡先を教えてもらい、すぐ電話したのですが
お仕事にでも出られたか、すでにお留守。
落ち着かないので何度もかけてしまいましたが、
午後3時半頃、漸く繋がりました。
よくよくお聞きすれば、お相手は、
同じ町内、それもうちから歩いて10分ほどの
この辺りの人ならだれもが知っている中華料理店という。
すぐに迎えに行きますとおっしゃるのを、
息子がとてもかわいがっていたので
外出中の息子が戻るまで待っていただけないかとお願いし、
夕方涼しくなってから、息子と一緒にお店に連れて行く
ということで了承していただきました。
用件を済ませた息子から連絡をうけて迎えに行った帰りの車中、
「エルちゃん」の飼い主が見つかったことと、
この子は10数年前、箱に入れられて捨てられていた子犬を拾って、
以来ずっと飼っておられたらしい・・・つまり、うちのエルではない
ということを話しました。
それでも息子はどうしても信じられないらしく、
ルームミラーに映っている顔は憤然としている。。。
帰宅後、改めて見てみたのですが、
やっぱりどうしてもエルに見えてしまう。
せめて抜け毛はとって、できるだけきれいにして帰らせてあげよう
と、ブラシをかけながら
「ねぇ、本当にエルちゃんじゃないの? 返事できればいいのにね・・・
エルは賢いんだから、人間のことばぐらいしゃべってよ。」
なんて、つい愚痴ってしまう私の横で
息子は相変わらずむっとした顔で突っ立ったまま、
ただ、犬をじっと見ていました。
ハスキーは毛のはえかわりなどで結構見た目が変わります。
容貌と全体の雰囲気以外で外見上の決め手と思ったのは
この、しっぽの黒い点 ↓ だったのですが
年格好のみならずこんなところまでが他犬の空似だったのかと思うと、
それはそれですごい出会いだったな、と。
最後にもう一度、一緒に庭を散歩して
いよいよ飼い主さんの元に向かう息子と私の足取りは重く
一歩一歩が、つらく哀しかった。
「エルちゃん」は、本当の飼い主に迎えられてもやはり無反応で、
じつに淡々と引き取られていきました。
今回で3度目の脱走だったとか。
できればもう冒険はせずに、ゆったり過ごして長生きしてほしいものです。
帰り道すっかりしょげかえってとぼとぼ歩いていた息子が
帰宅後少し経ってから、妙に真剣な面持ちで私のところにきました。
「犬を飼いたい」
やっぱりね〜。
「絶対ハスキー」
やっぱりね〜〜。
うちはダンナがハスキー好きで、以前は2頭飼っていました。
よく言われることだけれど、ハスキーは決して飼いやすい犬種ではありません。
人に対する従属心が薄いし、よく脱走する。
そして逃げたら戻れない・・・(のではなく、戻る気がないだけだと
ハスキー好きは強く信じて疑わないのですが。)
今回の「エルちゃん」のように、
我家じゃなくても、エサをくれるのが飼い主でなくても
全く気にせず、大人しくお世話されたりもする。
犬としてあまりにアバウトすぎる、気はする。
けど、人に対して友好的でありながらも媚びることのない
そんなハスキーの犬としての在り方に
ハスキー好きは心からしびれるらしいのです。
息子もどうやら、完全にやられてしまったみたい。
この10日間の息子を見ていて、充分に責任をもって世話できるだろうと
思ったので、私も飼うことには賛成しました。
もう少し環境を整えてから、という条件付きではありますが。
そんなわけで、“奇跡の生還”は幻に終わってしまいましたが
あの「エルちゃん」との出会いは、
我家にくっきりと軌跡を残していきました。
最初の歓びが大きかっただけに、
ずっしり落胆もしたし、別れは本当につらかった。
でも「エルちゃん」と過ごした10日間は、とても素敵で
犬と暮らすことの楽しさを改めて実感させてくれるものでした。
そのことを思うと、エルちゃんが「エルちゃん」をうちに来させてくれたような
そんな気もしてきます。
エルちゃん、そして「エルちゃん」
どうもありがとう。
奇跡の生還を果たした「エルちゃん」は
うちのエルちゃんじゃなかったことが、昨日わかりました。
息子の友だちが見つけて、うちに連れてきてくれたのが7月15日。
それから昨日までの10日間は、初めての老犬介護の日々でした。
ごはんをたっぷり食べてゆっくりしたせいか、
足取りは随分しっかりし、時には、床に寝そべっているネコを
ひょいと跳び越えたりするまでになったのですが、
排泄ががまんできないらしく、すぐにケージを汚してしまう・・・
できるかぎり度々外に出してやったりしてみたのですが、
どうしてもケージの中でしてしまって
途方に暮れた顔をしているのがかわいそうでした。
私自身こんなに年をとった犬の世話をするのは初めてのことだったので
若山正之『老犬生活 完全ガイド』(高橋書店)という本を買ってきて
試行錯誤しながら、いい方法を模索していました。
ハスキーとしては小柄だとはいえ、それなりに大きいので
何をするにも大変ではありましたが、
息子が本当によく手伝ってくれました。
大きくて力のある人の方が安定するので、抱かれる犬も安心するようでした。
そうやって世話をしながら、ふと身を寄せてくるときの寄りかかり方や
気に入らないときの実にしらっとした無視の仕方など、
ほんのちょっとした仕草がいちいちエルらしくて、
「やっぱり、どうみてもエルちゃんだよねぇ・・・間違いない」
と、子どもたちと確認しあっていたのです。
が、一方で、この子が間違いなくエルだとしても
それまで飼われていたところから逃げてきたわけなので、
飼い主さんはさぞ心配されているだろうな、と。
4年前の自分たちの気持ちを生々しく思い出して苦しくなり、
何とか連絡をとれないかと思っていました。
(今から思えば、すぐにでも市役所に届ければよかったのですが
エルちゃんが戻ってきたというので頭がいっぱいになっていたので
そこにはまったく気がまわらず。。。)
首輪に住所らしきものが書いてあるものの、インクがにじんでしまって判読不能。
一昨日の夜になって漸く、ネットで検索してみることを思いつき
やってみたら、茨城県動物指導センターの「迷い犬」コーナーに
「エルちゃん」がうちに来た日と同じ7月15日に逸走、
ハスキー系雑種、色は灰色で一部黒、目は茶、
「切れたチェーン付き」とか「歩く時少しふらつく」とか
まさにその通りの犬が載っていたのです。
やはり、探しておられるのだ!と思うと居ても立ってもいられない気分。
一夜明けて昨日の朝一番にセンターに電話して
飼い主さんの連絡先を教えてもらい、すぐ電話したのですが
お仕事にでも出られたか、すでにお留守。
落ち着かないので何度もかけてしまいましたが、
午後3時半頃、漸く繋がりました。
よくよくお聞きすれば、お相手は、
同じ町内、それもうちから歩いて10分ほどの
この辺りの人ならだれもが知っている中華料理店という。
すぐに迎えに行きますとおっしゃるのを、
息子がとてもかわいがっていたので
外出中の息子が戻るまで待っていただけないかとお願いし、
夕方涼しくなってから、息子と一緒にお店に連れて行く
ということで了承していただきました。
用件を済ませた息子から連絡をうけて迎えに行った帰りの車中、
「エルちゃん」の飼い主が見つかったことと、
この子は10数年前、箱に入れられて捨てられていた子犬を拾って、
以来ずっと飼っておられたらしい・・・つまり、うちのエルではない
ということを話しました。
それでも息子はどうしても信じられないらしく、
ルームミラーに映っている顔は憤然としている。。。
帰宅後、改めて見てみたのですが、
やっぱりどうしてもエルに見えてしまう。
せめて抜け毛はとって、できるだけきれいにして帰らせてあげよう
と、ブラシをかけながら
「ねぇ、本当にエルちゃんじゃないの? 返事できればいいのにね・・・
エルは賢いんだから、人間のことばぐらいしゃべってよ。」
なんて、つい愚痴ってしまう私の横で
息子は相変わらずむっとした顔で突っ立ったまま、
ただ、犬をじっと見ていました。
ハスキーは毛のはえかわりなどで結構見た目が変わります。
容貌と全体の雰囲気以外で外見上の決め手と思ったのは
この、しっぽの黒い点 ↓ だったのですが
それはそれですごい出会いだったな、と。
最後にもう一度、一緒に庭を散歩して
いよいよ飼い主さんの元に向かう息子と私の足取りは重く
一歩一歩が、つらく哀しかった。
「エルちゃん」は、本当の飼い主に迎えられてもやはり無反応で、
じつに淡々と引き取られていきました。
今回で3度目の脱走だったとか。
できればもう冒険はせずに、ゆったり過ごして長生きしてほしいものです。
帰り道すっかりしょげかえってとぼとぼ歩いていた息子が
帰宅後少し経ってから、妙に真剣な面持ちで私のところにきました。
「犬を飼いたい」
やっぱりね〜。
「絶対ハスキー」
やっぱりね〜〜。
うちはダンナがハスキー好きで、以前は2頭飼っていました。
よく言われることだけれど、ハスキーは決して飼いやすい犬種ではありません。
人に対する従属心が薄いし、よく脱走する。
そして逃げたら戻れない・・・(のではなく、戻る気がないだけだと
ハスキー好きは強く信じて疑わないのですが。)
今回の「エルちゃん」のように、
我家じゃなくても、エサをくれるのが飼い主でなくても
全く気にせず、大人しくお世話されたりもする。
犬としてあまりにアバウトすぎる、気はする。
けど、人に対して友好的でありながらも媚びることのない
そんなハスキーの犬としての在り方に
ハスキー好きは心からしびれるらしいのです。
息子もどうやら、完全にやられてしまったみたい。
この10日間の息子を見ていて、充分に責任をもって世話できるだろうと
思ったので、私も飼うことには賛成しました。
もう少し環境を整えてから、という条件付きではありますが。
そんなわけで、“奇跡の生還”は幻に終わってしまいましたが
あの「エルちゃん」との出会いは、
我家にくっきりと軌跡を残していきました。
最初の歓びが大きかっただけに、
ずっしり落胆もしたし、別れは本当につらかった。
でも「エルちゃん」と過ごした10日間は、とても素敵で
犬と暮らすことの楽しさを改めて実感させてくれるものでした。
そのことを思うと、エルちゃんが「エルちゃん」をうちに来させてくれたような
そんな気もしてきます。
エルちゃん、そして「エルちゃん」
どうもありがとう。
by immigrant-photo
| 2012-07-26 15:21
| thinking